膝蓋下脂肪体(ホッファ脂肪体)は、膝のお皿のすぐ下、膝蓋腱の奥にある、脂肪組織でできたやわらかいクッションです。神経が豊富なため、とても敏感になることがあります。膝を完全に伸ばしたとき、またはまっすぐを超えて後ろに反ったとき、脂肪体が太ももの骨とすねの骨の間で押しつぶされることがあります。はさまれることがくり返されると、脂肪体が腫れ、炎症を起こし、痛むようになります。
脂肪体が一度腫れると、より大きなスペースを占めるため再びはさまれやすくなり、問題が続く原因になります。脂肪体の痛みは、膝蓋腱障害、膝のお皿の裏の痛み、半月板の問題と間違えられることがあり、これらと同時に起こることもあります。丁寧な評価で主な痛みの原因を特定することで、的を絞った治療ができます。
医師が症状と活動についてお聞きし、膝を診察します。脂肪体をやさしく押したり、膝を完全に伸ばしたときの感じを確認したりします。
立つ、踏み出す、しゃがむときの股関節、膝、足のコントロールを観察することがあります。脂肪体に負担をかけている可能性のある癖や筋力の弱さを見つけるのに役立ちます。
必要に応じて、超音波検査で脂肪体、膝蓋腱、近くの滑液包を調べます。脂肪体の痛みと、膝の前面の痛みのほかの原因を区別するのに役立ちます。
症状が続く場合や、軟骨や半月板の損傷などほかの問題が疑われる場合は、紹介によりX線検査やMRIを手配することがあります。
治療方針は診察結果によって決まります。よくご提案する選択肢は以下のとおりです。
膝を後ろに伸ばしきった状態で立つのを避け、膝を無理にまっすぐにする活動を控えることで、脂肪体が落ち着く機会になります。
ご本人に適している場合は一般的な鎮痛薬や抗炎症薬、そして冷却パックが、症状が悪化したときの痛みと腫れを和らげるのに役立つことがあります。
ほかの対策でおさまらない痛みに対して、適切と判断された場合、画像ガイド下で脂肪体に注射することを検討する場合があります。根拠(エビデンス)は限られているため、最初に選ぶ治療ではありません。
詳しく見る(英語)一通りの治療を行っても症状が続く場合は、手術が役立つかどうかを相談するため、整形外科医へご紹介します。
脂肪体の痛みは、はさまれることが減り、脂肪体が落ち着く時間ができれば、数週間から数か月でおさまることが多いです。脂肪体は敏感なため、最初は回復がゆっくりに感じられることがあり、膝に再び負担がかかりすぎると症状が悪化することがあります。回復期間には個人差があります。多くの方は、医師の指導のもとで内容を変えながら、何らかの運動を続けることができます。
どちらも膝のお皿のすぐ下に痛みが出るため、混同されやすい病気です。腱障害は腱そのものの問題で、ジャンプや強い負荷で痛む傾向があります。脂肪体の痛みは、膝を完全に伸ばしたときや長時間立った後に悪化することが多いです。両方が同時に起こることもあり、超音波検査が区別に役立つことがあります。
多くの人は膝を後ろに押して伸ばしきった状態で立っており、これが脂肪体を押しつぶします。膝を少しゆるめて立ち、こまめに体重を移動させることが役立つ場合があります。仕事で長時間立つ方や、子どもを抱っこする方には、これが違いを生むことがあります。
通常、完全にやめる必要はありません。膝を無理にまっすぐにする活動やジャンプの多い活動は、しばらく減らす必要があるかもしれません。ほかの運動は、いくつかの変更を加えれば続けられることが多く、医師が内容の調整をお手伝いします。
脂肪体インピンジメントは通常、手術なしで治療します。手術は、一通りの治療後も症状が続くごく一部の方にのみ検討されます。該当する場合は、意見を聞くため整形外科医へご紹介します。
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